なまこ旅行記。

旅行記と生息記。

なまこ旅行記

一瞬と永遠のコンテンツ

いわゆる「オタク」と呼ばれる世界にも、最近は「瞬間性」というか、「いまだけ」楽しめるコンテンツが増えてきたなと思ったよ、という内容です。

 

 

 

 

1.文中でのオタクの扱い

 

いわゆるステレオタイプ的なオタク像、というものが僕の中にはあります(おそらく皆さんの中にもあると思うのですが)。外見もありますが、普通、「オタク」と言われて何をイメージするか、ということです。

 

鉄道、アイドル、科学、歴史、軍事、言語など、世の中には様々なジャンルのオタクがいると思います。むしろ、オタク要素がない人などいないのではないでしょうか。

 

けれども、おそらく「オタク」という言葉を聞いたとき、皆さんは「アニメ・マンガオタク」をイメージしたのではないでしょうか。

 

今回僕の書く文章では、特に断りのない場合、オタクを、狭義のアニメやマンガ、ラノベといったサブカルチャー的な、二次元キャラクターの登場するようなコンテンツを愛好するものだということにします。

 

2.昨今の流行りと対比

さて、そのオタクの中で最近流行っているのは「ソシャゲ」だと思います。

 

数年前では艦これが爆発的に流行って定着しましたし、今だとFGO、あんスタ、とうらぶ、デレマスやシャニマス、グラブルなんかでしょうか。

 

同人誌で見れば、ソシャゲの同人誌が圧倒的に多いことは一目瞭然ですし、その市場の大きさがわかると思います。

 

当然その背景にはスマホ・パソコンが一人一台ある時代、スマホの高機能化なんかが背景にあると思いますが、

 

これらのゲームと、アニメ・マンガ・ラノベとの大きな違いを、僕は「先達、あるいは後進と共有できるか?」だと考えています。

 

言い換えれば、保存性があるかどうか、ということかもしれません。

 

わかりやすい例を仮面ライダーで挙げてみたいと思います。

 

1971年、仮面ライダー1号、いわゆる初代から見続けるおじさん(というかおじいさんの域ですね)が、15歳の中学3年生、育っていく上でリアルタイムに放送されていない仮面ライダーしか見ていない同好の士を見つけたとします。

 

そこで通じるのは悲しいかな、どんなに昔でも15年前、2003年の仮面ライダー555までです。

 

しかしおじさんはもっと話がしたい。仮面ライダーの良さ、歴史を知ってほしい。

BLACKとか三号とかアマゾンとかクウガの話がしたい。

 

今の時代は便利ですね、歴代仮面ライダーのDVDがあります。そうでなくても、録画機器というものは昔からありましたので、15歳の同士に「布教」することが可能です。

映像技術の差はあれど、おそらく15歳の同士は昔の仮面ライダーの良さもわかり、おじさんと熱い会話を繰り広げるでしょう。

 

似たようなことは、アニメやマンガ、ラノベでも起こりうる、というか現実に起こっているはずです。

 

僕個人としては、「アニメならグレンラガン(10年前)を見ろ。マンガならアイシールド21(16年前)を読め。ラノベならレンタルマギカ(14年前)を味わい尽くせ。」と言いたいところです。

 

ところが。

 

それが成り立たなくなっているコンテンツが、ソシャゲなのかなあと思います。

 

マンガやラノベなんかは、形に残ります。

アニメ(これはTV番組全体に言えますが)はやや上記2つよりも残しにくいですが、公式でもしっかりメディアに残る形にしてくれることが多いです。

どうでもいいですがバラエティなんかはもっと形に残すほうがいいと思うんですよね。なんで頑なに残したがらないのでしょう。

 

ソシャゲのシナリオは、大抵読み返すことができます。

が、残念なことに、それはサービス配信中だけなのです。

サービスが終われば読めなくなるのです。

(また、イベントのあとに始めた人はそのシナリオが読めない場合が多いですね)

 

じゃあ、テキストがあれば、テキストを吸い出せばそれで良いのか?というとそういうわけにもいかないのが、ゲームの特異性なんだと思っています。

 

BGM、ボイス、演出、そして”費やした時間”など、ゲーム特有の要素があるからこそ、ゲームはゲームだと思うんですよ。

 

シナリオだけではありません。

「曲」なんかも当たるんじゃないかなぁと思います。

有名な、それこそアイマス*1ラブライブ!シリーズなんかの音ゲーの歌はCD化してくれるかもしれませんが、小さなゲームのBGMはおそらくですがゲーム配信終了とともに失われる可能性が非常に高い。

 

他の媒体のゲームであれば、ハードとソフトが揃いさえすれば再現がそこまで難しいものではないと考えると、この差は非常に大きなものだと思います。

 

とにもかくにも、ソシャゲという作品は失われやすく、保存がしにくいということはわかってもらえたでしょうか。

 

3.再現性のないコンテンツ

ソシャゲは別に、特別なわけではありません。

失われやすく保存がしにくいコンテンツというのはいくらでもあるでしょう。

特に、現実の”人”の絡むコンテンツというのは再現性が低いものです。

 

ミュージシャンやコメディアンのライブなんかは、アドリブやトラブル、天気の関係などその最もたるものでしょう。

 

旅というコンテンツも同様に、同道者、当時のイベントや出会う人、食事、自然環境の変化など「同じような旅行」というのはなかなか難しいものです。

 

あとは、コンテンツそのものというソフトではなく、成長や加齢といった自分というハードの変調で再現ができない場合も想定できますかね。

スポーツがこれに該当するものでしょうか。身長が伸びた、体重が増えた、体力が落ちた、視力が悪くなった、いろんな遊びを覚えてしまった、体験するのが久々だ。

 

これらのせいで、当時と同じ動きができない、感じ方が違う、ということは珍しくないことだと思います。

 

 あとは少し大きな話になってしまいますが、「学生時代」なんかもここにいれてもいいんですかね。あの閉鎖的な空間で送った時間はやはり、消費するコンテンツの要素もあると思うので。

 

4.共有性

ところで、瞬間性を焦点に当てたとき、コンテンツそのものの瞬間性だけではなくて、受容体であるオタクの感受的な瞬間性についても書いておきたいな、と思います。

 

どういうことかといえば、他人の感じる「コンテンツが今まさに公開されているときの、どうなるかわからないどきどきとわくわく」が簡単に視認できることから生まれる不思議な連帯感のことです。これは匿名掲示板からスタートし、そしてSNSへと拡大したように思えます。

 

「リアタイ実況*2」などにまさに見られると思うのですが、他者の盛り上がりというのは基本的に現実でしか感じられません。

 

例として、スポーツ観戦を挙げたいと思います。

現地ならプレーで周りの人と同じように一喜一憂し、一体感を得る。

中継であれば、リアルタイムで共有するのは精々が家族や友人数名でしょう。(居酒屋やスポーツバーなどの例外はあるでしょうが)

 

今までのオタクコンテンツというのは、中継の方に該当してきたんだと思いますし、TV番組ではない場合、「ちょうどこの時間」盛り上がる、ということはあまりなかったかと思います。TV番組でも、見たあとの共有は翌日に持ち越される、あるいは匿名掲示板で共有することが多かったはずです。最も短いスパンでも「発売日」という24時間の中での盛り上がりにならざるを得なかったのではないですかね。

 

幸運なことに、我々現代人はSNSという手軽な、そして即時に行われる共有手段を手に入れました。オタクカルチャーにとって、それは期間限定で行われるソシャゲのイベントの情報と感想を共有するのに、非常に適していたんだと思います。

 

匿名掲示板でいえばスレの速度、Twitterでいえば「トレンド」でしょうか、とにかく「勢い」を共有できるのはやっぱり強い。

 

イベントの情報が解禁された瞬間にSNSで盛り上がり、イベントが実施された瞬間から活発に意見を交換する。それこそが、今ここまでソシャゲが盛り上がってる理由の一つなのかな、と思いますね。

*1:アイドルマスター!シリーズ

*2:リアルタイム実況のこと。放送中、試合や作品の状況と自分の感じ方などを混ぜてTwitterなどのSNSで共有する

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