なまこ旅行記。

旅行記と生息記。

なまこ旅行記

季節を象徴する本

今週のお題「読書の秋」

読書の秋、秋の本、と言われて思いつくものが意外とないことに気づきました。

 

最近はともかく、高校時代までは間違いなく文学少年だったはずなんですけど、「秋」をテーマにした本ってなかなかすぐには思いつきません。

 

というか、そもそも季節と聞いて、「この季節といえばこれ!!!!」って本すぐには出てこない気がするので頑張って考えてみました。

せっかくなので各季節紹介していきます。

 

 

 

春の本

卒業、入学、新生活…。意外と多そうに見えて僕はすっと連想できませんでした。いや、実際多いとは思うんですけどね?

 

はやみねかおる「卒業~開かずの教室を開けるとき~」

 

 

 

 

まずは卒業。はやみねかおるの「夢水清志郎探偵ノート」シリーズ最終巻。

いやまあ、この本というかこのシリーズ出したかっただけです。

 

はやみねかおるさんという偉大な、非常に偉大な作家さんを紹介したくて…。都会トムシリーズ、夢水清志郎シリーズ、怪盗クイーンシリーズ…おそらく僕の±10年くらいの文学少年少女の殆どが、この作家さんに出会ったのではないでしょうか。

 

そのなかでも一番長く続いたこのシリーズの最終巻。名探偵との「別れ」をメインにしていて、当然作品そのものも面白いんですけど、盤外に仕掛けられたトリックもまたすごい。というか編集さん大変だっただろうなーって思います。

 

この本、僕が小中時代に仲の良かったM・Yくんから借りたのも印象に残っています。

 

風野潮「森へようこそ」

 

 

森へようこそ (カラフル文庫)

森へようこそ (カラフル文庫)

 

 

 

 風野潮さんの「森へようこそ」。

風野潮さんが女性だということを、成人してから知りました。個人的には「満月を見ると猫になっちゃう…」っていうラブコメ風の「満月を忘れるな!」シリーズも好きなんですけど、今回はこっちを。というかこれ夏だった気がするんですけど…。導入自体はGWだったような…?まあ新生活!ということで春枠にしといてください。

 

あらすじは、主人公の気の強い女の子が、母親の海外勤務のせいで、今まで全く交流のなかった父親と弟の二人と生活を始める。ところが、この弟っていうのが植物の声が聞こえるとかいう特殊能力を持っていて…。みたいな感じです。

 

主人公、最初は嫌なやつなんですよ。父親と、弟と、植物に触発されながらだんだんと変わっていくのがなんとも言えないんですよね。いろいろ仕掛けがあって。この本、ありえない話なのに、確かに現実を感じさせつつも、決して嫌なリアルさはない。だというのに、心の変化だとか、自然についてだとか、いつの間にか考えてしまっているのが、風野さん上手いなあと思う次第であります。読み返したくなってきたなあ。

 

夏の本

夏の本はそもそも題材が多いんじゃないんでしょうか。迷わずすっと出てきたものが多く、どれを採用するか結構迷いました…。

 

あんまり焦点当てられにくい梅雨っぽさ、ジメッとした枠が向日葵の咲かない夏。

ザ・夏というカラッとした枠がサマーウォーズ

 

道尾秀介「向日葵の咲かない夏」

 

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

 

 

 

 

 ナゾトレとかにも出てる道尾秀介さんの「向日葵の咲かない夏」。

夏休みに、殺人事件を目撃して、妹と一緒に調べていく主人公…なんですけど、読み終わったあとの気持ち悪さが半端じゃない。うえっとなる。気分の落ち込んだ夏の蒸し暑い夜か、なんとなく怖いものが見たくなる秋の夜長に読むことを推奨します。とりあえず夜に読め。

 

僕としては、映画化もした「カラスの親指」を最初に読んで、読んだ日に買っちゃうくらい好きなんですけど、その次に読んだこれが気持ち悪すぎて嫌いになったっていう作品で、多分好きじゃないはずなんですけど、夏って聞いたら何故かこの本が出てきます。不思議だ。

 

岩井恭平サマーウォーズ」 

 

 

 

 

岩井恭平さん「サマーウォーズ」。

 

あんまり知らないと思うんですけど、角川スニーカー文庫の骨太ラノベ作家こと岩井恭平さんが書いてるサマーウォーズのノベライズ作品です。ラノベに詳しい人だったらムシウタ書いてるって言ったら通じるかな。

 

あらすじについては、まあ映画のあらすじなので割愛。でもね、ただのノベライズじゃあないんです。そもそも僕はノベライズがあまり好きではないんですけど、これだけは例外です。

 

小説ならではの、「心理描写」が凄い。

 

どうしても映画だと、セリフ(と表情)しかそのキャラクターの心情を表すものがなくて、しかも2時間程度の時間しかありませんでした。しかし、小説だと内面を丁寧に描いている。過去についてなんかも補完してありますし、特に夏希先輩の心の動きなんか必見ですよ。

 

映画を見てない人よりも、むしろ映画が大好きだった人におすすめしたい。映画を詳しく知っているからこその違いに目が留まり、そしてその違いにこそ心躍るものがあるはずです。友人の佐久間についてとかね。

 

秋の本

 

これは皆さん結構同意してくださると思うんですけど、秋=京都の式が頭のなかで出来上がっているせいで、秋の本と聞いた瞬間京都のイメージがふわふわと浮かんできました。

 

森見登美彦夜は短し歩けよ乙女

 

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)
 

 

 

ということで森見登美彦の「夜は短し歩けよ乙女」。

 

有頂天家族なんかもアニメ化されて、確かこの本は映画化されたんでしたっけ。

 

秋の大学祭を中心に、主人公とヒロインのラブコメ…?とその周りを描いた名作です。京都に行きたくなるなあ。

 

とにもかくにも、文体が森見さんはオリジナリティにあふれている。いや、ホントはオリジナルどころかありふれているんだけど、そのありふれは現代の少し前、明治とかの文体なわけ。それでいて内容なんかは現代のものな訳で、そのギャップがなんともいえない森見ワールドを作っているんだろうなあと。

 

あと、この人基本的に京都しか書かない。だけど、だからこそ、古めかしい文体が古都京都を描くのにマッチしてるはず。

 

冬の本

七帝柔道記とかも紹介しようかと思ったんですけど、そこで気づいたのは、冬ってそのイメージからか「辛い」「悲しい」「別れ」などのテーマが据えられてるなあと。でも紹介するのは違います。

 

奈須きのこ空の境界

 

 

 

空の境界」。FGOでも有名な「奈須きのこ」さんの本ですね。

 

あらすじは、そこをなぞると全てが死んじゃうという、「死の線」が見える魔眼を持った主人公が、様々な不思議をその魔眼を以て殺していく…という感じなんでしょうか。メインテーマによって様々な章に分かれてます。僕を型月に引っ張った原因でした。これを小学生の時に貸してくれたKくんはお元気でしょうか。

 

全編通して冬なわけではないんですけど、一番ページを割かれた章が冬で、はためくコート、凍みる寒さといった細かい描写が、どうしても記憶に残り、冬と聞いたら出てくる本でした…。

 

終えて

いや出てこないもんですね…。

 

今回は季節縛りだったんですけど、この記事書いてると、「うっわこの本も読んでたなあ」だとか「この人だったらこれだよなぁ」とか「これってあそこで読んだなあ」とか懐かしい気分に浸れました。

 

みんなが読んだことのある本はありました?

なかったら上記のどれかを読むか、あなたのおすすめの本を教えて下さい。

是非是非語ろうな。